ビロードノボタン(学名:Pleroma heteromallum)はノボタン科の常緑低木。別名アツバノボタン、オオバシコンノボタン、オオバノボタン(この和名は別属の種(Miconia calvescens)を指すことが多いので注意)など。

旧学名Tibouchina grandifoliaはシノニムとされる。

本項では池原及びYListに従い、和名をビロードノボタンと記す。

特徴

高さ1–3 m。茎の断面は四角形で下部は木質化し硬い。枝は葉腋から叉状に出る。葉は長さ10–25 cm、幅6–15 cmの卵形で厚く、全縁、対生し、ノボタン’コート・ダジュール’として流通する種と比べて葉幅が広い。葉の両面に白色の伏毛が密生し、葉面が銀白色のビロード状に見える。葉柄は1–2 cmほど。花はシコンノボタンやノボタン’コート・ダジュール’より小さく、径3–5 cmほどの紫色の5弁の花が集まり、枝先に穂状の円錐花序を形成する。花の中央部は初め白色で後、橙赤色に変わる。雄蕊10本は花弁と同じく紫色。花期は夏。

分布

南米のブラジル等が原産。沖縄へは昭和54年頃に導入された。

利用

植物園や温室で鑑賞されるほか、沖縄では庭や公園によく植栽され、多く見かける。根元から多数の枝が出て、花数も多いことから庭園樹に向く。繁殖は挿木や実生による。日当たりが良く風の弱い場所が望ましい。樹形を維持するためには開花後に枝を切り戻す。新梢が出た頃に摘芯を行うと分枝が促進され花が多くつく。病虫害はほとんどみられないが、冬期に葉が黄変することがある。

脚注

参考文献

  • 池原直樹「ビロードノボタン(新称)」『沖縄植物野外活用図鑑』 8巻《ばら科~きつねのまご科》、新星図書出版、1989年。 
  • 海洋博記念公園管理財団『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732。  ※ アツバノボタン(別名オオバシコンノボタン)学名Tibouchina grandifoliaと記している
  • 屋比久壮実『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730。  ※ アツバシコンノボタン (別名アツバノボタン)Tibouchina grandifoliaと記している
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024。  ※ オオバシコンノボタン(別名アツバノボタン)Tibouchina grandifoliaと記している
  • 林将之; 名嘉初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350。  ※ アツバノボタン(別名オオバシコンノボタン)と記している

外部リンク

  • アツバノボタン (厚葉野牡丹) うちなー通信
  • アツバノボタン おきなわ 緑と花のひろば 沖縄県環境部環境再生課
  • オオバシコンノボタン(大葉紫紺野牡丹) フラワーパークかごしま
  • アツバノボタン(オオバシコンノボタン) ここは屋久島(ブログ)2024-06-18
  • オオバノボタン GKZ植物事典
  • ノボタン(後編) シコンノボタン属など 2024/07/09 小杉波留夫 東アジア植物記 (株)サカタのタネ 園芸通信

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