EBCDIC (英語: Extended Binary Coded Decimal Interchange Code、エビシディック、拡張二進化十進コード) はIBMにより定義された8ビットのコード化文字セットである。ASCII普及前の1963年に、BCD(Binary-coded decimal、二進化十進コード)を拡張する形で作られ、主にIBM系のメインフレームやオフィスコンピュータなどで使用されている。

IBMのCDRA(Character Data Representation Architecture; 文字データ表現体系)では、EBCDICは符号化方法(Encoding Scheme)の1つと位置づけられている。各国語などの文字集合であるコードページを、EBCDICなどの符号化方式で符号化するが、EBCDICの符号化にもシングルバイト、ダブルバイト、マルチバイトの構造がある。これらの組み合わせがCCSIDとして定義されており、例えば日本用のEBCDICのCCSIDは、ひらがなや漢字を含まない組み合わせも含めると、10以上定義されている。

この他、IBM以外の互換メーカーなどのEBCDICをベースとした各種の文字コードまたは符号化方法も、EBCDICまたはEBCDIC系と呼ばれる場合がある。

歴史

EBCDICはSystem/360と同時に発表された。

IBMはASCII標準化委員会の主提案社であったが、BCDをベースとしたのは、当時のデータの大多数はパンチカードの形でBCDの形式で保管されていたため、蓄積データの互換性を優先したためである。

System/360がベストセラーとなると、そのクローンであるRCA Spectra、ICL System 4、富士通 FACOM、日立製作所 HITACなどもEBCDICを採用した。

EBCDICを標準の文字コードとするオペレーティングシステムには、IBMメインフレーム用のz/OS、z/VSE、z/VMや、IBMミッドレンジコンピュータ用のOS/400、IBM iなどがある。ただし、IBMメインフレーム上でもz/OS上のUSS(UNIX互換環境)や、Linux、あるいはAS/400やPower Systems i Edition上で稼動するLinuxやAIXなどは、ASCIIである。EBCDICと、ASCII、シフトJIS、Unicodeなどの主要な文字コード間は、オペレーティングシステム、ミドルウェア、各種ツール、アプリケーション・ソフトウェアなどの機能を使用したコード変換が行われている。

IBM以外ではBS2000、HP MPE、Unisys MCPなどもEBCDICをベースにしている。日立製作所はEBCDICをベースとした自社の文字コードをEBCDIKと呼んでいる。上述のようにIBMの日本用EBCDICの組み合わせ(CCSID)は10以上定義されているが、他メーカーでは細部が異なるため、いわゆるEBCDIC系統では多数の文字コードが存在している。

詳細

CCSID、コードページとの関係

上述のように、IBM CDRA上ではEBCDICは「文字コード」ではなく「符号化方法」の1つであり、具体的なコード配置(各文字と符号位置の配置)はコードページによっても異なる。符号化方法にEBCDIC (1100)を使用したコードページとCCSIDの例には以下がある。なお CCSID 5026(日本語カタカナ拡張)にはコードページが2つあり(混合CCSID)、切り替えて使用する。

コード配置

  • EBCDICを使用した全てのコードページで、共通の符号位置を持つ文字 (例えば、'SP'(ブランク) = X'40'は共通だが、以下に記載の無い英小文字の有無や位置はコードページにより異なる)
  • カナ拡張されたEBCDICコードの例(IBMによるカナ拡張の一例;コードページ:298の場合)

制御文字コードの配置

EBCDICにもASCIIと同様、通信処理の制御や周辺機器の制御などの目的に用いる文字コードが存在する。割り当て範囲は、16進数表現の00hから3Fhの間と0FFh。

  • IBMによるカナ拡張の一例(コードページ:298)と組み合わせた場合のコード表

ASCIIと共通の機能名称を持つ制御文字コードがある反面、プリンタ等の基本的な改行制御に関わる制御文字コードの個数に差異があるといった違いもある。

  • EBCDIC:CR=Carriage Return、NL=New Line、LF=Line Feed、FF=Form Feed(計4種類)
  • ASCII:CR=Carriage Return、LF=Line Feed、FF=Form Feed(計3種類)

脚注

参考文献

  • J.DONOVAN, JOHN (1972). systems programming. ISBN 0-07-085175-1 

外部リンク

  • “IBM Globalization - Resources”. IBM Corporation (2017年3月17日). 2018年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月23日閲覧。 - IBMの文字コード全体の資料と、EBCDICを含む各文字コードのコード表
    • “IBM Globalization - Character set identifiers - GCSGID 01172”. IBM Corporation (2016年11月3日). 2017年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月23日閲覧。 - コードページ 1172(日本語拡張,EBCDIC/汎用PC)
  • 益山 (1998年6月14日). “IBM EBCDIC 日本語符号化文字集合”. 2011年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月23日閲覧。
  • SJIS(IBM943)、EBCDIC(IBM930)の文字コードMAPについて (リンク先に日本語コード一覧表)

Images of EBCDIC JapaneseClass.jp

EBCDIC Understanding EBCDIC Encoding

EBCDIC CODE by 아영 채 on Prezi

Maksud EBCDIC Definisi, Sejarah, Kelebihan, & Kelemahan

EBCDIC • Definition Gabler Wirtschaftslexikon